はつおい歯科室 べいちょうです。
口臭って気にされている方が結構いますよね。マウスウォッシュを使ったり、口臭ケアのスプレーを使ったり。そんな方も意外といらっしゃるみたいです。
そこで今回は口臭の原因と対策を書いてみようと思います。
①口臭の原因は、微生物?
②どうしたら防げるの?
③危険な予防法がある…?!
④その他の理由「乾燥」
こんな感じで書いていきます。では、どうぞ!
①口臭の原因は、微生物?
[ 口臭とは ] を検索してみました。
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されます。
厚生労働省『e-ヘルスネット』
いまいち抽象的ですが「口臭い」は漫才のネタに使われる程度には知られている状態なのかなと思います。
上記サイトにもあるように、口臭の80%以上は口の中で作られるようです。そして微生物が原因物質「揮発性硫黄化合物」を作っています。微生物は食渣(食べかす)や、粘膜の剥がれ落ちた垢などを素にこの「揮発性硫黄化合物」をつくります。
体は皮膚や粘膜に覆われていて、それらの新陳代謝によって垢が出ますし、傷が治ります。口の中でも垢が出るわけですが、例えば、転んで擦り傷をつくると「瘡蓋」が出来ますよね。傷が治っていって、瘡蓋が古くなると、垢と一緒に剥がれ落ちます。
さて、歯周病になると口の中では変化が起きます。どんな風に変化するのか書いてみましょう。
1「口に汚れが残る」→2「細菌が増えていく」→3「歯石に変化する」→4「細菌が歯ぐきを傷つける」→5「歯ぐきに炎症が起こる」→6「歯ぐきの深いところへ細菌が侵入する」→2→3→4→5→6→2…
この繰り返しが続いていって最終的に歯が抜けてしまうのが歯周病です。
この【2「細菌が増えていく」】が繰り返される事によって、口の中の細菌数はどんどん増えていきます。また、細菌は倍に増えていく生き物です。もとの数が多いと、増える数も多いんです。
例えば、元々1個の細菌がいたとすると一度増えると2個に。2個は4個に、4個は8個に。
細菌はライフサイクルも早いので増殖も速いです。
例えば、元々が100個の細菌なら、100→200→400→800→というように最近は増えていく計算になります。もちろんそんなに単純な計算ではないのですが。
プラークは1mg中に1億2千万個の細菌が住んでいて、プラーク中の14%を細菌がしめているそうです。
これが、倍に、倍に、増えていってしまうんです。ちなみにこのプラーク、食べかすではなく細菌が作り出したネバネバ物質です。唾液に抵抗して生き残るために細菌たちが作り出す繭みたいなものなんです。
細菌が増えると歯ぐきでは炎症が起こり、歯ぐきでは新陳代謝が活発に起こって体を守ったり、回復しようとします。その分、垢や瘡蓋のような組織が剥がれ落ちる速度も早まります。
その結果、口臭の原因物質「揮発性硫黄化合物」の量が増えていってしまうんですね。
ちなみに、この項目のタイトルを「微生物」としたのには理由があります。それは、細菌のほかに真菌やウィルスも関係してくるからです。詳細は割愛しますが、真菌、ウィルスを含んだ「微生物」が口臭をつくりだします。
②どうしたら防げるの?
①を読んでくださった方や、これまでのブログを読んでくださっている方はもしかしたら「どうせあれでしょ」と思われるかもしれません。
そう! 歯ブラシ です!
原因は細菌の数でしたね。そして口の中のお掃除と言えば 歯ブラシ です。
歯ブラシは汚れの除去効果が非常に高いです。お風呂やキッチン周りも、歯ブラシでお掃除したりしますよね。歯ブラシは本当に便利な道具なんです。
私達が歯科医院で出来る事は、取れなくなってしまった歯石の除去と歯ブラシの指導です。特に歯ブラシの指導は肝心。毎日、三度の食事を見守る事が出来るのは、ご自身やご家族だけです。歯ブラシの仕方、ブラシの当て方、苦手な部分や歯並びに合わせた工夫など、お伝えできるのが歯科医院の本当の価値だと思います。繰り返しますが、歯ブラシ大切です!
また入れ歯を入れている場合、入れ歯についた汚れが原因になる事も。入れ歯の汚れは「誤嚥性肺炎」にもつながる危険な汚れです。よく洗っておきましょう。(過去の記事『入れ歯ってどうすれば?』も読んでみてください!)
歯ブラシが上手に出来ていたら、歯科医院に通ったりしなくていいし、治療なんてもっての外!と言えるかもしれません。歯科医師や歯科衛生士でも むし歯 や 歯周病 になる様に、どうしてもメンテナンスは必要になりますが、それでも治療の回数や来院回数が減らせると私たちも嬉しいです。
ちなみにですが、マウスウォッシュや口臭スプレーは、根本的な解決が出来ないので一時的な対策になります。原因である微生物を減らしてあげましょう。
③危険な予防方法がある…?!
そう。実はとても危険な予防方法がいくつかあります。
危険の代表は、舌ブラシ。確かに、口臭の多くは舌についた「舌苔」で作られるとも言われています。
ですので、それ自体は有効ですが、ベロはとても繊細な組織で出来ています。舌ブラシは回数を最小限に、必要な時だけ使う事が望ましいと考えています。何を恐れているかと言えば、舌癌です。
確かに口臭の大きな原因に「舌苔」があるのですが、気になってブラシを使うと白いのが取れてついつい回数が増えてしまいがちです。「一度に2回まで」など決めて使いましょう。使い方を守って頂ければ、危険は格段に減ります。口全体の細菌数を減らすことで口腔内が清潔になり舌苔の減少にもつながります。歯ブラシを重点的に、舌ブラシは最小限に!
市販の「歯石取り」も危険です。「歯石が取れる」とうたっている商品を見かけますが、何を隠そう「鑢(やすり)」です。削り取っています。器用に歯石だけ取れる道具は、残念ながらありません。ですので、歯が一緒に削れてしまいます。昨年でしょうか、「歯の形をデザインする」というような事が海外で流行って特集を見かけました。これは口臭とは関係ありませんが、本当に危険です。髪の毛や爪と違って、歯は削ると戻りません。
必ず歯科医院で相談をしていただきたいと思います。治療はせずご相談だけ、という場合でも受け付けております。簡単だから、と手に取らず、歯科医院へお越しいただけると安心です。
④その他の理由「乾燥」
上記の他に口臭には乾燥が強く関係します。
「緊張したら口が乾いて臭い…」なんて事ありませんか?よくしゃべる仕事をしていると緊張としゃべる事による乾燥が重なって臭いか気になる様になります。
口の中は通常、唾液によって潤っています。唾液の中には抗菌作用や粘膜保護作用、抗体と呼ばれる免疫物質などが含まれています。口は消化器系の入り口です。その大切な入り口を唾液が守ってくれています。
その唾液が何らかの理由で行き渡らないと、歯周病の進行や粘膜が傷んだり、細菌が繁殖したり。悪影響がたくさんです。口が乾きやすい場合がいくつか考えられます。
- 緊張による唾液の性状変化
- 口が開いている事による乾燥
- 唾液の減少
- 鼻づまりなど息苦しさからくる口呼吸
- 服薬によるもの
- 脱水によるもの
などが考えられます。薬の副作用で口腔乾燥がありますので、その場合は医師に相談してみましょう。違う薬を出してもらえるかもしれません。
それ以外であれば、口を意識的に閉じる、意識して深呼吸してリラックスする、唾液腺マッサージをする、などで改善が見込まれますので、試してみてください。湯船につかって唾液腺マッサージをすると血流も良くなり、リラックスが出来て効果的です。
やはりと言いますか、結局「見させてください!」になってしまうんですが。しかし、歯は身近なものですが、専門の医療分野です。どうか、歯を削ってしまったり、失ってしまう前に、一度見せて頂けたらと思います。