歯医者に行くと何度も呼ばれる…。

歯医者に行くと何度も呼ばれる…。

はつおい歯科室べいちょうです。

患者さんから度々「歯医者さんは一回行くと何回も行くことになる…」と言われます。
言って頂ける、が正しいですね。思っていても口に出せない方、少なくないと思います。

そこで今回は 何度も通う理由 を書いていこうかと思います。
当院の歯科衛生士から、「先生のブログで勉強しています!」と言われたので、少し緊張しながら書いていこうと思います(笑)

①クリーニングで呼ばれる
②むし歯治療で呼ばれる
③消毒や経過観察で呼ばれる

こんな感じでしょうか。なかなか一度で終えられない歯科治療の謎を説明したいと思います。

①クリーニングで呼ばれる
「クリーニングを受けたい」と希望されて歯科医院を受診される方が年々増えているように思います。
歯科医師としてとても嬉しいですね。
一方で、ていきけんしん・・・・・・・ への誤解が少しあるように思います。
それは、歯科医院で保険を使って受けるものが定期検診・・だからです。
健康診断の健診・・と検査診断の検診・・には違いがあるんです。
どちらも けんしん・・・・ ですが、違いがあります。
(過去の記事『検診の重要性』も併せてお読みください!!)

一般的に特定の病気について歯科医療機関で受けるのは、検診になります。
歯周病やむし歯、その他口腔疾患の検査・診断を受けて、必要に応じて指導や清掃を行います。

保険医療は病気に対して行うもので、健康な状態では保険が適応されません。
例えば妊娠・出産です。病院には行きますが、妊娠も出産も病気ではありません。
ですので、妊娠・出産時に受ける医療は保険医療ではないんです。
保険の代わりに自治体から助成が出て、医療機関への受診を助けてくれています。

さて、病気の診断には検査が必須になります。
それが歯をチクチクする「歯周ポケット検査」です。
歯周ポケットの深化や歯周組織の破壊が認められて初めて歯周病になります。
歯周病は基本的には慢性疾患ですから、症状だけでの判断が難しいです。
ですので、積極的な検査での診断が必要になります。

診断には「歯周ポケットの検査」だけでなく、汚れの量や、歯の揺れなども調べます。
クリーニングだけでは、原因が取り除かれない対処療法にあたるので、これも保険医療では推奨されません。特に歯周病は、糖尿病や認知症、血管疾患、早産など、様々な病気との関連が指摘されています。
歯周病を減らす事は国にとっても急務です。汚れだけを取るのは、ただ医療費が増えるだけですので、自分の為にも、家族の為にも、地域社会の為にもよろしくありません。
そこで必要になるのが、歯ブラシ指導です。歯ブラシが行き届かないと、歯周病はもちろん、むし歯も原因になりますし、膠原病との関連、悪性新生物との関連も考えられています。よっぽど綺麗であれば「文句なしに綺麗です!」なのですが、なかなかそういった方はいません。癖だったり、歯並びだったり、間食習慣だったりも歯ブラシ指導に含まれてきます。そういった原因を取り除くことが必要になります。
そして、歯ブラシ指導は、なかなか一度で完結できません。歯ブラシが届いていない状態でクリーニングに入っても、歯石は残念ながら数日でついてきてしまいます

お忙しいなどの理由に応じて、クリーニングまで1日で終えて、数か月後、という方も中にはいらっしゃいます。が、必要があれば「本当は何回かに分けて進めたい」というのはお伝えしています。
もちろん綺麗で心配がなさそうな方は、1回で終えて半年後、という場合もあります。
ただ、半数ほどの患者さんは、まずは歯ブラシ指導から入念に。が必要になります。

②むし歯治療で呼ばれる
この場合にも歯ブラシ指導が必要な場合もあります。また、一ヵ所むし歯があるという事はそれなりの期間、口腔内の環境が悪化していたことが考えられるので、複数のむし歯を心配します。
奥歯の場合は噛み合わせも考慮して詰め物を行います。その日に完了できる詰め物もあります。
一方で、型取りが必要で後日にその治療が完了する場合もあります。
もう一つ。むし歯が深い場合です。その場合には、歯の神経(根管治療)が必要になります。根管治療は継続して同じ個所を清掃・消毒する必要があります。しかも期間が開いてしまうと汚れてしまって、振り出しに戻る事があります。根管治療中は長くても2週間毎に消毒をするか、気管を開ける前提での仮蓋(仮封)を複数層に分けたり、歯の補強が必要になります。
根管治療は多くの場合3回ほどかかり、その後に土台と被せ物が必要になるケースもあります。繰り返しの通院が必要になってしまいますので、根管治療になってしまう前に、早い段階でのむし歯治療が大切になります。
中には繰り返し通えなくて悪化してしまうケースがあります。お忙しいとは思いますが、頑張って通いましょう。その時には食べにくい程度ですが、次第に歯が動いてしまいます。噛み合わせに問題を抱えると、ドミノ倒しに問題が生じますので、頑張って通うか、通いやすい医院での治療を受けましょう。

③消毒や経過観察で呼ばれる
歯科というのは実は外科にあたります。削ったり切ったりする医療行為です。
状況によって一度では判断できなかったり、回復にも個人差があるので期間を置いてから次の処置にめどを立てたりします。また外科治療の場合は明確に症状が無くても私たちの目から見るとよくない状況が起きたりします。早い段階で次の手を打つ必要がある場合が殆どです。なので、例えば歯を抜いたり、歯ぐきを切開した場合には早めの状態確認と消毒が必要になります。
また、近年口腔癌も少なくありません。ただ赤みを帯びているだけなのか、ただの火傷の後なのか、それとも、もしかしたら腫瘍性ものなのか。これは一度の診断で見た目だけでは見当がつきません。人生に関わる問題ですから、診察が1分だけだったとしても経過観察はとても大切な診察になります。

何度も呼ばれる…という不満はよく耳にします。が、正直を言えば歯科医師や歯科衛生士の怠慢かと思います。殆どが説明不足だったり、患者さんとのコミュニケーション不足です。
歯科医師・歯科衛生士も、患者さんの為にと思ってっている行為だと思いますが、説明がないとただのお節介や、時には「無駄に通わされる」と受け取ってしまう事も。
しかし、やっぱり必要があって回数がかかりますので、ご理解いただけると嬉しいです。
また、通えないから、という理由で受診を避けるのは危険な場合があります。理由があって通えない事を事前に伝えて、それでも通うよう説得があるかとは思いますが、まずは一度受診してみて頂ければと思います。

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