はつおい歯科室 べいちょうです。
皆さんはお盆はいかがお過ごしでしたでしょうか。
お盆は祝日ではないので、休みが無い職場も少なく無いのかもしれません。
サービス業は逆に繁忙期であったり、世の中は難しいものです。
はつおい歯科室は休めるところはしっかり休みます。
今年は8連休でした。
何となくですが、休むことは悪いこと、という様な風土がある様な気がします。
休みなく営業する事が礼賛される様な感覚が。
「仕事は『三方善』」と言います。
『売り手よし・買い手よし・世間よし』
私が聞く時は必ず『売り手よし』が最初に来ます。
けれど今時の風潮は『買い手よし・買い手よし・買い手よし』と、感じています。
売り手よし、は儲けるとかそういう話ではなくて、正当な対価をいただきましょう。という話だと思っています。買い手よし、は買い手は対価をいただくだけの存在ではなくて、それ以上の価値を感じていただくようにしましょうね。という事だと思っています。世間よしは、世間様に顔向が出来ないような端ない真似はしないこと。だと思っています。
けれど、今時分、世間様に嫌われない様に恐る恐る商いをする必要があって、買い手様は神様で、売り手はまるで下僕か何かのような錯覚を受ける事があります。私は間違っていると思っていて。
我が家の冷蔵庫が壊れまして。まだ動いているのですが、もう20年近く前の冷蔵庫。そろそろ買い換えようという話になりました。我が家では電化製品を買う時には相談しに行く方がいます。
エディオンのIさんという方です。相談の末、決めていた物とは違う冷蔵庫を買う事に。その時にIさんからお願いが。9月に売上ノルマがあるそうで、その時期に買っていただけないか?という提案でした。
私たちもIさんの為になるならと、買う日を改めてお約束して帰りました。ちょっと言いにくそうにされてはいたものの、そんなお願いをしてくださる事は私にとっては嬉しい事で。日付を変えたからといって私たちに得はないし、何なら行く手間も増える訳ですが、それでも「喜んで」って感じです。
最近は色々な物価が上がっています。歯科でもその流れは急激で、毎月の様に製品の値上げが続いています。どの業界も下請けが損を被るもので、歯科で言えば歯科技工所です。物価が上がってコストが上がり、賃上げまで迫られている中で技工料(入れ歯を作る代金)を上げるには取引歯科医院へ説明しなくてはいけません。はつおい歯科室へも取引のある技工所さんの所長さんがいらして、「実はこの度…」と値上げのお話がありました。私は「お待ちしていました!」とお答えしました。ちょっと困惑されていましたが、私には安心してくださったかな、と感じられました。
先日、患者さんがすごく喜んでくださったので、一緒に写真を撮らせていただけないか?と聞いてみたところ、喜んで協力してくださって。ツーショットで写真を撮らせていただいて技工所さんへお礼状を出させていただきました。所長さんから「こんな事は初めてです!」「感激です!」とご連絡をいただいて、私も本当に嬉しくて。感謝とお礼をしたら感謝とお礼が返ってきたような感じでした。
「代価の先払い」という言葉が自己啓発界隈ではよく使われます。何かを得るには代価を先に支払わなくてはならない。という考え方です。これは本当にその通りで。相手のために出来る事を探して、調べて、考えて、行動してみて、その時になって初めて何かを得られます。肝心なところは、「何かを得たい」という邪?な考えではなくて、単純に「この人のために」と思えた時だけ真心のお返しが返ってくる気がします。
冷蔵庫の相談をしたエディオンのIさん、実は店舗を異動されていて、問い合わせまでして相談に行きました。もはやストーカーでは?と心配になるような行動ですが、「Iさんの成績を上げたい」という謎の推し活的行動で結果的に我が家に最適な冷蔵庫にたどり着きましたし、妻の安心も得られました。Iさんもノルマのプレッシャーから少し解放されたかもしれません。
値上げの提案をしてくださった技工所さん、私の心の中では「値上げの提案があるはず。」と思っていて、提案があったら笑顔で「お待ちしていました!喜んで!」の準備をしていました。ちょっとキョトンとされていましたが、安心した顔をされていたように思います。
お礼状を出した技工所さん、「感激です!」と喜んでくださったのも、鬱陶しい言い方をすれば、患者さんに協力していただけて、手紙を出して、をしたから感激をしていただけたのです。技工所さんに喜んでもらえる方法はないかな?と考えていたからできた事です。お取引相手に喜んでもらえる、まして感激してもらえる機会、あんまりないじゃないですか。心なしか電話の向こうで声が震えているようで、私も感激してしまいました。
私は嬉しくて仕方がありません。これが私の得たかった対価です。
代価の先払いで得られる対価は、勘定できるものではないのだと思います。
確かに私は、色んな損をしていますが、人は生活に贅沢をして心の豊かさを失っている気がしますね。