はつおい歯科室べいちょうです。
私は歯科医師免許を得た後に神奈川県横浜市にある鶴見大学歯学部附属病院で研修を受けました。
その後近くにあった歯科医院へ勤務しました。
その医院は厳しくもあったのですが、一般的な常識というか、歯科医院では無視されがちな、でも一般では当たり前の事を教えていただくことが出来ました。
「定物定置」や「先入先出」というのは、一般的な言葉なのかな、と思うのですが、一般常識が欠如していて、ちょっと分かりません。
定物定置は、物は決まった場所に置きましょう。という事ですね。
先入先出は、先に入れたものは先に出しましょう。という言葉です。
歯科は外科治療ですから、治療時間と滅菌が重要です。滅菌には期限がある事が通常で、昔に滅菌したものがいつまでも使われないと困るので、片づける場所と片づける順番なども重要なんですね。
片づけ勝手と言う言葉は、使い勝手に対比して私が勝手に作った造語です。
私が勤務していた医院では、使う人の顔を思い浮かべて片づけよう。と教わりました。コップやエプロンも、在庫が切れたから出せばいい。のではなく、どう置けば使いやすいのか、どんな向きで、どんな量だと効率的か。そんな些細?な事でも、考える事が常識でした。
そうすると、全部のやり方が変わってくるんですね。
使いやすい様にするには、どうしまおう。
しまいやすくするには、どう滅菌しよう。
滅菌しやすくするには、どう洗おう。
洗いやすくするには、どう片づけよう。
片づけやすくするには、どう使おう。そんな「どうすれば」がぐるぐる回ると、日に日に改善されて、改良されて、全部がやりやすくなってくるんですね。
ただ、問題なのが、忙しさです。
忙しいと片づけが雑になります。ドミノ倒しのように、全部が雑に、疎かになっていきます。
忙しい時に、片づけが勝手になっていくんですね。そうすると、使い勝手はどんどん悪くなります。
私はかなりサボり魔というか、怠け者というか、楽をしたい人です。
ただ私が楽をする方向は、最終的にどうすれば一番楽なのか、を考える様に、教え込まれました(笑)
患者さん全員に使う器具のセットも、置く向きと順番を決めていて、それは、ミラーは左手で持ってピンセットは右手で持つとか、目で確認しなくても取れる様に、とか、そんな事で決めています。
治療中でも片づけの為に中断したりします。もちろんその為だけに手を止めるわけではありませんが、合間合間の隙間を縫ってです。器具が増えていくと無駄な判断が必要になってきて、結局時間をロスするからです。
治療の最中も終わった後も、捨てるもの、洗うものを分けていくと、最後の手順が少なくなります。
ここで「後でやろう」が出てくると、洗う場所が器具でいっぱいで、分別もしながら洗わなくてはいけなくなって、また時間が無くなっていきます。
もう分別が終わっていれば、移動する段階で捨てるものは手に持って、道中捨てて、洗うものはさっと洗って洗浄機に入れる。実は10秒もかからないのに、それを後回しにすると何分もかかります。
今は忙しいとか、今は時間が無いとか、それが頭に浮かんだら「よし今やろう。」にすると意外と色んな事が好転していくと、私は感じています。またしてもなかなか共感がえられない事ですが(笑)
ふと思い出したのですが、前の勤務先では小学校の職場体験を受け入れていて、質問がありました。
「いままでで一番苦労したのはいつですか?」
私は「今。常に今。」と解答を記載しました。
それを見て、上司である院長が「なんだこれ、ふざけてんのか!」と。
しかし後日、自身が同じようなインタビューを受けて、「今ですね。常に今です。」と解答していました。
いまが一番楽だとしたら、先々で苦労が待っているかと思います。
苦労があったから今は楽をしたい。少しだけ。そんな期間もあります。
私としては、今、苦労したい。先で楽になりたいから。
いや、分かるけどね、と苦笑いされることが多いですが、それを私は楽しめる人でありたいと、そんな事を思いながら踏ん張っています(笑)