はつおい歯科室べいちょうです。
言葉と言うのはもの凄く巧妙です。私たちの使う言葉はスタンスを非常に素直に表します。
そんなつもりが無くても、そう言うつもりが無くても、スタンスが素直に表れます。
自分に見つからない様に巧妙、なので自分以外にだけ、何故か伝わってしまいます。
何か、物事が生じた時に。経緯から説明してはいけません。
結果生じた事実から説明するべきです。
もし経緯が大切なのであれば、「誤解を生じさせたくないので」と経緯を説明する旨を伝えるべきですが、「まず結論は」とそれでも先に伝えるべきです。「伝え方が難しく、経緯の説明に注意が必要とは思いますが、結論として〇〇となりました。」ここで初めて経緯への関心が生まれる訳です。相手が聞きたいのは結果・結論であって経緯ではないという話で。それが飲みの場・井戸端会議・時間つぶしであれば、経緯からでいいでしょうね。それは落ちが必要だからです。そもそも相手が興味のない話に結果・結論への関心を煽ってからそれを話す必要があるからです。反対に仕事の場では、結果・結論への関心しかありませんが、経緯は必要としていません。聞かれて初めて答えればよいものを、そこから説明するから「言い訳がましい」「保身が過ぎる」と信頼を失っていくのです。
そして伝えるべきは「事実」であって「解釈」ではありません。
「本日は達成率〇〇%で結果は未達成です。」これは事実を含みます。それでも言葉が多い気がします。
「本日は達成に至りませんでした。」事実の様で解釈だと思います。巧言令色鮮し仁という奴で、言葉を飾ったところで仁を欠いています。真心や思いやりがなく着飾った言葉で達成できなかった事実を隠しています。言外に「努力の甲斐むなしく」をにおわせるのが「本日は達成に至りませんでした。」という表現です。
「本日未達です。」事実の報告はここまでで良くて、その後で「達成率は〇〇%で原因は◇◇と△△が考えられます。改善点は□□で〇〇については良い試みですので継続します。」が必要なコミュニケーションだと思います。
順番をひっくり返してみましょう。
「本日は□□がうまくいかず、◇◇と△△がありました。〇〇は効果的ですので継続します。達成率は〇〇%で未達成でした。」
私の例文も良くありませんが、この歪さが伝わるでしょうか。言い訳がましく、不貞腐れたようにも感じるし、「私には責任がございませんが」という説明に聞こえてくるんです。
私が入社前研修で必ず出す問題があります。
『事実に〇をしてみましょう。
「昨日は仕事が大変で、帰ったあとは洗濯物もしなくてはいけなくて、寝るのが遅くなってしまいました。そのせいで朝寝坊をしてしまって、道路も混んでいたので 時間に間に合いませんでした。」』
誰が読んでも言い訳がましいと思えるようにこってり作っているつもりですが、ニュートラルでこんな雰囲気の会話をしている方、実際にはたくさん見かけますね。
事実を報告する文章にすると、どんな文章になるでしょうか。
この言葉を聞いた上司はどう思いながら「それは大変だったね」と言葉を選んでいるでしょうか。
事実は「遅刻しました。」ですね。加えるとすれば「朝寝坊をしました。すみません。」ですね。
そして、もし上述の報告を朝からしたのなら、上司にはこう聞こえます。
「私は仕事が遅く効率が悪いです。洗濯物をためて家事が出来ません。翌日に仕事があっても夜更かしをします。自己管理が出来ていないので起床時間を守れません。交通状況を考慮する事が出来ませんし、そもそも出勤時間を尊重するつもりはありません。なので時間には間に合いませんでしたが、私は悪くありません。」
あなたが伝えたいことが本当にこうなら、そう伝えた方がいいですね。「私は悪くないんです」と。
そうでないなら、信頼を失うだけで得られるものはありません。しかも「仕事が」と最初に来ることで「悪いのは仕事なんです」というメッセージになっています。「自分のせいではないんです」と言うために長い時間を強要しています。本当にそう言いたいのなら、それでも良いのですが。
反対に、責任を取りに行く事が、仕事では重要になります。
「私のせいです!」と言える事が信頼を得られる方法。という話で。
責任があいまいな人に仕事を任せる人はいませんから、責任のない仕事しか任せられません。…そんな仕事は、ないのですが。
反対に、責任感がある、責任の所在を明確にしている、自分の責任の範囲を広げられる人は信頼されます。
失敗が10で責任を取る人と、失敗が1で責任を取らない人、信頼を得るのは失敗が10で責任を取る人でしょう。
何にでも「自分の責任」と考えられる人がいます。自分が出社してない日の出来事でも、「自分に落ち度があったかもしれません」と真剣に相談をする人がいます。そういう人には信頼が集まりますよね。
失敗をすると原因を探したくなる気持ち、分かります。「違うんです!僕のせいじゃないんです!」と思う気持ち。それをかみしめて「私の至らなさゆえ」と口から出せるようにしないと、色々と難しいですよね。
原因が見つけられなくなってくると、体調が悪くなってきます。体調不良のせいでパフォーマンスが悪いから失敗したのであって、本当なら…と。。だと良いのですが、そう思っているとまた失敗します。なぜなら、失敗の原因は体調不良。自分で定めた体調不良から抜け出すことは難しいです。体調不良の時は失敗すると定義づけたのも自分です。無限のループから抜け出すには、どうしたらよいのでしょう。
自分を呪うのは自分であって他の誰でもありません。
「自分のせいでない様に…」と考えてしまうと、そこですべてが停止して失敗のスパイラルに突入します。
「自分事」「自分の責任」と受け止めて初めて広がる世界があるはずです。
責任を引き受ける事は、本当は楽な道なんです。
責任を逃せば、信頼を失って大きな損失が待っていますから。
鏡を拭いても顔の泥は落ちないですよね。
自分が変わらなければ同じ問題が繰り返し、寄せては返していきます。
成長したくない、と言う人もいるのは事実ですが、苦しそうに見えてなりません。
昔、ファイナルファンタジーⅤというゲームがありまして。
やりこみ、というのが流行りました。
レベルを上げることなく、ほぼ初期レベルのまま攻略に挑むプレイスタイルです。
私は反対に、レベルをすっかり上げて無駄に強くして攻略するタイプです。
ポケモンは最初の森でヒトカゲをリザードンに進化させる修行っぷりです。
どっちも苦しそうですね。ただ、選択肢はあるし、グラデーションは自分で選べるはずです。
時々、自分に呪いをかけて選択肢が無いと錯覚している人がいるだけで。


