はつおい歯科室のべいちょうです。
色々なことに手を出しすぎて、頭がぐるぐる回っています(笑)
そういう時に大切なのが「優先順位」かなぁと思いまして、今回のタイトルです。
セルフハンディキャッピングの話
選択を誤ることって、よくあります。
試験の前日に、なぜか部屋の片付けを始めてしまう――有名な「セルフハンディキャッピング」です。
集中を確保するため、頭を整理するため、効率を上げるため…というもっともらしい理由をつけて、時間の使い方を間違えるやつです。
心理学的には、「掃除をしたせいで試験がうまくできなかった(だから自分のせいではない)」という言い訳を無意識に作るためだそうです。
冷静に考えれば優先順位を誤っていて、とにかく勉強を始めるか、問題集を開く方がはるかに効率的なのに、普段はしない片付けに時間を割いてしまうわけですね。
仕事での優先順位──アイゼンハワーマトリクス
仕事での優先順位のつけ方で有名なのが、「緊急度」と「重要度」で分けるアイゼンハワーマトリクスです。
仕事で本来大切なのは、将来的な展望です。
1週間後、1か月後、半年後、1年後、5年後、10年後…先を見据えて運営するのが「経営」です。
ですが現実には、今日のことだけで精一杯になって明日すら見えない、そんな日々を繰り返してしまうことがあります。
目の前の忙しさに囚われていては、経営にはなりません。
(※経営で練られた方針に沿って日々実行することが「運営」です。)
🧭 緊急度 × 重要度マトリクス
| 緊急 | 非緊急 | |
|---|---|---|
| 重要 | 🟥 第Ⅰ領域:至急で重要 ・患者さんの急患対応 ・スタッフの体調不良フォロー ・設備トラブル対応 ➡ 「すぐやる」領域 | 🟩 第Ⅱ領域:重要だが急がない ・スタッフ教育 ・院内マニュアル整備 ・ブログや広報の計画 ・医院理念の浸透 ➡ 「時間を確保して取り組む」領域 |
| 不要 | 🟧 第Ⅲ領域:緊急だが重要でない ・突然の営業電話対応 ・本来他の人ができる雑務 ・優先順位の低い報告書作成 ➡ 「任せる・減らす」領域 | ⬜ 第Ⅳ領域:緊急でも重要でもない ・惰性でのミーティング ・スマホの長時間閲覧 ・目的のない雑談 ➡ 「やめる・減らす」領域 |
忙しさが「優先順位」を狂わせる
本来注力すべきは、緊急度が低く重要度が高い「第Ⅱ領域」です。
ところが実際には、第Ⅰ領域(緊急かつ重要)に追われ、第Ⅲ・Ⅳ領域が増えていくのが現実です。
特に保険診療を主とする歯科医院では、人数を診療しなければ利益を出しづらく、
「忙しさ」が成功指標になってしまう医院も少なくありません。
スタッフ数はギリギリ、予約は詰め込み、これが保険診療を最大化する唯一の方法…。
そんな構造が、常に高い緊急度を生み出してしまいます。
多忙は人の能力を下げ、注意力を奪い、第Ⅲ・Ⅳ領域を増やします。
本来大切な第Ⅱ領域(教育・仕組みづくり)を後回しにして、第Ⅰ領域の火消しに追われる。
そして定着しない従業員に「教育は意味がない」とさらに嘆く。
――そのループこそが恐ろしいのです。
優先順位を「自分自身」に当てはめてみる
最後に、これを自分自身にも当てはめてみたいと思います。
日々の忙しさに振り回されて、将来への投資をおろそかにしてはいないでしょうか?
金銭的な投資はもちろん大切です。
知識や技術、マナー、人間力と呼ばれる部分への投資も同じくらい大切です。
そして、趣味への投資も日々を豊かにする大事な要素です。
では、今の自分が思い描いた「10年後・20年後・30年後の自分」のために、
「今できる最適な投資」を選べているでしょうか。
その日その時に全力を尽くすことは素晴らしいことです。
しかし同時に、自分自身という存在を本当に大切にできているかどうか。
優先順位の第一位を「本当の意味で自分自身」に置けているでしょうか。
それが我欲や身勝手ではなく、自己中心にもならず、
「人のために役に立てる私」をつくるための投資になっているでしょうか。
あるいは、自己犠牲ばかりになっていないでしょうか。
もし親であれば、今の自分に何と言うでしょう。
恩師なら、今の自分にどんな言葉をくれるでしょう。
そして──死の間際の自分は、今の自分に何と声をかけるでしょうか。
いつも気を張って生きている訳ではありませんが、自分を大切にしてこなかった過去の私を振り返って、そういう人が少なくなると良いな。とそんな事を思っているのです。


