はつおい歯科室 べいちょうです。
優しさって、一体何なのでしょう。 わたし、雰囲気なんでしょうか。「優しそう」とよく言われます。ですが、私自身にはそれが全くしっくりきません。 優しさって何でしょう。
最近、浜松歯科衛生士専門学校で授業を持つようになって、改めてその事を考える機会が多々ありました。
採用側の「本音」と、教育者としての葛藤
浜松歯科衛生士専門学校は、浜松市歯科医師会が運営している歯科衛生士専門学校です。
学校の講義を引き受けるにあたって、先輩の歯科医師から助言というか、苦労話のようなものを伺いました。 当然、教えに行く私たち歯科医師には「将来は立派な歯科衛生士として頑張ってね。あわよくば、うちの歯科医院で働いてね」という様な、採用に対する切実な本音や期待があります。それは当然のことです。歯科大学のない浜松で、これだけの人口を支える歯科医療機関として、歯科衛生士も歯科技工士も、圧倒的に人数が足りていません。それを補う事が、歯科医師会立で利益度外視で運営されている根本にあるはずです。
そこで、講義や実習を担当する歯科医師は、ひとつの葛藤に直面します。 厳格にその学生の将来を思って指導に当たるのか、それとも「いい先生だと思われたい」と、自分をよく見せようと思ってしまうのか。
先輩の先生いわく、教える側にはどうしても「学生から好かれたい」という誘惑が付き纏い、つい指導が甘くなってしまう難しさがあるのだそうです。
片や学生の視点に立ってみると、「優しい先生」とは、一般にその「甘くしてくれる」先生になりがちです。 真剣に将来を考えて厳しく指導に当たる先生が、本当の意味で「優しい先生」だと分かってもらえるのは、学生たちが卒業し、もう少し人生を歩んで現場に出てからの様に思います。
「優しい」というのは、本当に難しいですね。
170問のテストと、鬼教官の願い
先日、私が担当している口腔生理学の試験を作りました。 50分の試験時間で、170問くらいの問題を解いてもらう試験です。1分で3問以上解かなくてはいけません。
結構な鬼教官ぶりですが、事前に見た事のある問題のはずで、真面目に頑張った人は100点も取れる。……と思いたいのですが、こればかりは結果を待つしかありません。
しかし、口腔生理学は1年生で習って、次に出てくるのは3年生の国家試験対策の時です。人間ですから、絶対に忘れてしまうでしょう。でも生理学は、他のすべての教科の根本にもなる重要な科目で、決して忘れては貰いたくない科目なのです。 可能であれば、1年生の今のうちから「私が歯科衛生士に成ったら!」と現場での自分を思い描いてもらえたらと、そんな期待をしながら問題を作りました。学生たちから恨まれないと良いのですが……。
学生の頃、私自身が生理学を好きだったのもあって、ぜひ知っていてもらいたいという私の欲求があるのかもしれません。 そうすると、やっぱり私は「優しく」はないのかもしれません。これはただの私のエゴかも。
でも、可能なら全員に100点を取ってもらいたいなぁなどと思っています。それはそれで私が学校側から怒られるのかもしれませんが。 でも、もし彼女たちが3年生になった時に「あの時、生理学をしっかりやっておいて困らなくてよかった」と思ってもらえたら、国家試験の勉強がずいぶんと楽になると思うんです。
何としてもみんなに頑張っていただきたいなぁと、出題した私の方が今からハラハラしています。


