知れば知るほど凄い「ビムラー矯正」。古代人の骨格から見る歯並びの秘密

はつおい歯科室 べいちょうです。

知れば知るほど「凄いな」と、私自身が感動しているのが「ビムラー」です。

ドイツのビムラー先生が発明したビムラー装置は、元々は大人の治療に使われる装置でした。耳鼻科の先生でもあったビムラー先生は、鼻閉・口呼吸の研究の末に「歯列口腔の不調和が、鼻閉や口呼吸を引き起こしている」と考えて、この装置を開発されたそうです。 そして、日本の永井先生が矯正治療の臨床と研修を重ねる中でビムラーに出会い、日本人の口、特に小児に適応できないかとカスタマイズされたのが「N-Bimler」。私が当院で「ビムラー」と呼んで行っている治療法です。

症例写真をバンッと載せるとその変化に感動するのですが、医療広告ガイドラインの細かなルールがあるため、院内の本や動画をご覧いただけますと、その治り方が綺麗な事に驚かれると思います。

口腔を「3次元空間」として捉える重要性

私がビムラーに感動したのは、歯と口を3次元空間としてとらえて、その調和を図るという考え方です。

軟食化やマスクの常用、コミュニケーションの簡素化や一人時間の多さなど、現代の子どもが抱える問題と取り巻く環境は、歯と口の事だけに注目すれば「喫緊の課題」と言わざるを得ません。

「オーラルフレイル」や「口腔機能低下症」といった、成人、特に50代60代から顕在化して誤嚥性肺炎などを引き起こす問題は、まさに人生の質を左右する問題になっています。 私は昔から、診療の中で「もう少し早く来てくれていれば……」と心の中で嘆くことが多々ありました。その一つが、歯並びをはじめとする口腔の不調和です。小児期に矯正が出来ていれば……という悔しい思いを何度も飲み込んでいます(患者さんに直接口に出すわけにはいかないのが、またつらいところです)。

舌の筋トレが、歯並びを治す

ビムラー矯正では「NeO-Cap」という被せ物の様な装置を使います。奥歯を高くして、口の空間を広げる装置です。

口の空間が狭いと、舌が上手に動けずに力が弱くなったり、ベロを前に出す「舌突出嚥下」をしたりして、どちらも歯列不正を招きます。また舌の力が弱いと、嚥下(飲み込み)そのものが弱くなります。

最近の歯科では「舌圧検査」というのが出来るように保険が改正され、充実してきました。実際、子どもでも大人でも舌圧が弱くなっている方は、検査をするとたくさん見受けられます。診療中にむせてしまったり、うがいの水をためていられないなどの訴えは、実は舌の力が弱い事による場合もあります。 「口腔機能低下症」は55歳から保険でも検査が出来ますが、必要と判断してやってみると、40代でも舌圧が低く、年齢を迎えればそのまま口腔機能低下症の基準に当てはまる(実態は口腔機能低下症である)方も珍しくありません。

口の中が広くなると、それだけで舌の動きは良くなります。飲み込むために筋肉が自然と動くようになるからです。 そこへビムラー装置を装着すると、ビムラーは舌で抑えないとカタカタ動いて違和感がありますから、自然と舌の筋トレが出来る訳です。

舌の力が弱いと、頬の力に押されて歯は内側へ倒れてきます。逆に舌の力が付いてくると、自然と歯は外側へ、綺麗な並びへと誘導されていきます。不思議なほど自然に、きれいに並んでいくのがビムラー装置の凄いところです。

歯は、力をかけると動いていきます。歯並びが悪いのには、必ず原因があるはずです。 原因を取り除かずにただ力技で歯を並べるには、何か乗り越えなくてはいけない物、あるいは犠牲がありそうですよね。
反対に、歯並びを悪くする原因そのものを、歯並びをよくする原因へと変えてあげられるとしたら。

歯並びは、グッと良くなるはずだと思いませんか? なんだか「信じる者は救われる」的な雰囲気を醸してしまっていますが(笑)。

古代人のDNAと、現代人の私たち

以前、「古代のDNA展」というものに行ってきました。 そこで展示されていた古代ホモサピエンスの骨格標本では、全員、歯並びが綺麗でした。全員です。親知らずまできれいに並んでいました。硬いものを食べていたのか、稀に歯の割れた標本もありましたが、並びは本当に綺麗でした。

展示を見ていくと、段々と現代に近づきます。沖縄県出土の標本では、歯を失っていたり、大きなむし歯があったり、歯並びが悪くなっていました。治療痕も見えてきます。火を使えるようになった現代人は、顎の成長が弱いと言われています。 原因は顎の成長そのものではなく、顎周囲の「発達」が不足していることなのかもしれません。

私たちは、何万年もずっと歯並びが良かったのです。たかだか百年か千年くらいの間に、急に歯並びが悪くなったのです。私たちのDNAは本来、歯並びが良いみたいです。

話が脱線に脱線を重ねました。展示される様な綺麗な標本が、たまたま歯並びが良かっただけなのかもしれませんね。だとしても、歯並びが良いに越したことはない、という事にはなりそうです。

子どもの時の矯正が、大人になって、そして高齢になった時に、見た目だけでなく健康にもかかわる強烈なアドバンテージになる。そんな思いで、ビムラー矯正を導入しました。 日々の診療でぶつかるたくさんの壁が、小児期の矯正で取っ払えるかもしれない。私は今、そんな希望を抱いています。

今回の長野での研修でも、たくさんの学びと同時に、改めて「ビムラー矯正をする意義」を深く噛みしめることができました。

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