はつおい歯科室べいちょうです。
歯周病に対する外科治療を行っていたのですが、ちょっと複雑な治療をさせて頂いていたんです。骨片を取っての再生療法(自家骨移植)と、歯肉の性質を改善する手術(歯肉弁根尖側移動術)と、歯肉の位置を改善して歯周ポケットを減らす手術(ディスタルウェッジ)、それらを一緒にさせて頂いていたんです。
なかなかうまく進んで、縫合もキレイに出来て、安心して片づけた時、急に母の言葉が浮かびました。
「あんたの実習器具、使い終わったら私が使いたい」
いま私が使っている器具は歯学部の実習で使ったものが殆どです。とても良いものを実習で指定されるものですから、なかなかの値段だったのだと思います。一方、母は貰い物を使っていたり、祖父母の使っていた器具を使っていたりしていたようで、「羨ましい」と言っていたような記憶があります。私が歯学部の実習を終えて渡していた器具は東京の医院で使っていたようで、なくなってしまった物も多いのですが、それでも実習で使っていた器具で、実習で習っていた手術を出来るっていうのは何だか不思議な気持ちです。
祖父母は異常なほど物持ちがよく、型取りの道具などは祖父母が使っていたものだったり、医院には出していませんが叔父が使っていたらしい歯の模型などもあったり、いったい何年前の物なんでしょう。入れ歯を調整するプライヤーであったり、石膏を流すバイブレーターなどは祖父母の使っていたものを使っています。
私が使っていた器具も、母が大切に使ってくれていたから今でも使えるのだし、祖父母や叔父、母が使っていたものが、今でも使えるというのは凄い事ですよね。
手術後に使い込まれた器具を見て、独り歴史を感じました。