歯周病とは何でしょう?

歯周病とは何でしょう?

2023年6月27日

はつおい歯科室 べいちょうです。

歯周病ってどんな病気でしょう?
実は歯科医師や歯科衛生士でも深いところまで知らなかったり、勘違いしている場合もあります。
歯周病とは何か、ざっくりとしたテーマですが、網羅的に書いていければと思っています。
重要な順番で書きたいな、と思います。

①歯周病で、どうなるの?
②歯周病は、どう治すの?
③歯周病の怖いところ
④歯周病を治したい
⑤歯周病のディープな話
そんな流れで、今回も、どうぞ!

①歯周病で、どうなるの?
歯周病は読んで字のごとく、「歯の周りの病気」です。
歯の周りで病気になると、歯が抜けます。
ざっくり過ぎますが、本当です。歯周病は、歯の根に沿ってじわじわ進行します。
蔦で覆われた建物を見たことがありますでしょうか?あんなイメージです。
はじめは少し壁に伝う程度だったのが、ぐんぐん伸びて、家全体を覆ってしまいます。
歯周病の場合は細菌と歯石です。歯に沿ってぐんぐんと広がって、歯の根全体を覆います。

②歯周病は、どう治すの?
歯周病の治し方は、お掃除です。繰り返しのお掃除で汚れを取ります。
まずは歯ブラシの指導です。はつおい歯科室でも、歯ブラシ指導は超重要と考えています。
歯ブラシが出来ないと、歯石はすぐについてきます。過去の記事『感染症って本当ですか?』にも書いたように、半日~1日でプラークが形成されて、2~3日で歯石へと変化していきます。
歯石を取って2週間後にはまた歯石!!という事が起こります。
歯石のつきやすい人は本当にすぐに、びっしりとついてしまうので、磨けるようになってから出ないと治療が進まなくなってしまうんです。
(過去の記事『歯石がつきやすい人 そうでない人』も読んでみてください。)
①歯を磨けるようになってもらう。
②歯石を取る。
③歯ぐきの中の歯石を取る。
このような順番で、お掃除をします。
歯石は、健康な人でも、歯みがきの上手な人でも、ついてしまうのが普通です。
歯周病は症状もないので、歯石取りと定期検査は継続していただけると安心です。

③歯周病の怖いところ
歯周病は気付かぬうちにやってきます。痛くはないが、時々血が出る。腫れぼったい感じ、違和感はあった、という方が多いですが、それ、すでに進んだ状態の可能性があります。
「歯が揺れだしたと思ったら食事の時に歯が抜けた。」驚く話ですが、本当の話です。
しかも、急に、ドミノ倒しのように悪化していきます。
口の中は建物に例えられることが多いんです。歯は建物を支える柱です。
家を支える柱を失うと、最初の数本は影響がないように見えますが、他の柱は負担が増します。
ある日それが支えきれなくなると、一気に崩れてしまうんです。

④歯周病を治したい
「歯周病は治らない」と聞いたことがある人もいると思います。正しいとも、そうでないとも、言えると思います。
歯周病は歯の周りで炎症を起こすことで、歯周組織の主に歯槽骨(歯を支える骨)を失う病気です。
歯周病は細菌感染によって引き起こされる細菌感染症で、歯周病原菌が歯周ポケットに侵入します。
歯周ポケットに侵入した最近は、歯石となって定着し、持続的に毒素を出して歯槽骨を破壊します。
歯周病原菌は酸素を嫌うので、歯周ポケット内で増殖し、歯肉由来の血液で繁殖します。
歯周病は、確かに元の通りには戻りません。しかし、日ごろの歯ブラシと歯石の除去で、進行を食い止めることが出来ます。
早い段階で見つける事、早い段階で食い止める事がとても大切です。
深いところまで進んでいて、骨の回復を期待する場合は、歯周外科治療を行っていきます。

⑤歯周病のディープな話
歯周病はディープです・・・深いです。

歯と周りの構造
歯と周りの構造

絵の左側は健康な状態を示していますが、右側の「歯周ポケット」は歯周病の状態です。
「歯ぐきの検査をしますね」そんな事を言われて歯ぐきをチクチクする検査を受けたことはありますか?

この「歯周ポケット」で歯周病の診断をしています。
歯周病は感染症、というのはこれまでも書いてきました。
細菌はプラークの中で繁殖して他の菌を集めて歯石をつくります。
この細菌が「歯周病原菌」と呼ばれるのには理由があって、歯周病をつくるからです!
当たり前のことを書いていますが・・・。
歯周病原菌は酸素が嫌いです。そして歯周病原菌は血液が好きです。
歯ぐきの中は酸素も届かず、細菌の繁殖で傷つけられて出血してきます。
歯周病原菌は歯を伝って奥へ奥へ、歯ぐきの中へ隠れる様に進んでいきます。
進んでは歯石をつくり、進んでは歯石をつくり。
最終的には歯の根、全体を覆ってしまいます。

私達の体は、自分自身とそれ以外を明確に知っています。
アレルギー症状は、体の中に入り込んだ異物から体を守ろうとして、過剰な炎症症状によって起こります。
細菌や、細菌の作り出す歯石も、体は異物と判断します。
歯石に覆われた歯も、体にとっては害をなす異物と判断します。
結果的に「歯が揺れだしたと思ったら食事の時に歯が抜けた。」が起こります。

検査結果の説明で
「歯周ポケットの深い部分がありますね」と言われたら…「歯周病原菌が住んでいるんだ!!」
「出血する部分があります」と言われたら…「細菌が繁殖しているんだ!!」
「揺れている歯があります」と言われたら…「骨が溶けているんだ!!」
そんな風に考えて、私たちは歯周病治療をさせて頂いています。

どの医院でも「歯周病治療」は受けると思います。
歯ブラシ指導もしつこくうけていると思いますが、「またか」とは思わずに、一緒に頑張っていただけると嬉しいです!

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