はつおい歯科室 べいちょうです。
いつもへそ曲がりな事ばかりを書いていますが、今日ばかりは日常に焦点を当てたいと思います。
2011年の3月11日。 あの日、私は東京の渋谷にいました。
ロフトに入って左手にある文具コーナーで、手紙のセットを選んでいた時のことです。 「なんだか揺れるな…いや、かなり揺れている」 そう思って、慌てて店外に出ました。
道路には、立ち並ぶビルからどんどん人が飛び出してきていました。 心配になりながら上を見上げていると、さらに揺れが大きくなり、私はたまらず壁に背中を寄りかからせました。 「ビルが倒れてきたらどうしよう……」 そんな事を考えながら。
そして、激しい揺れがスッと収まったその瞬間。 周りに立っていた人たちが、バタバタと地面に倒れていきました。 あまりにも大きな揺れが続いていたせいで、地面が急に「止まった」ことで、皆が一斉に平衡感覚を失い、バランスを崩してしまったのです。
私は背中をビルに預けていたので転ばずに済みましたが、それでも体がぐらっと傾くのを感じました。
電車は全てが止まり、道路は大渋滞でバスも動きません。 余震が続く渋谷の街で、見ず知らずの人たちと一緒に街頭テレビのニュースを見つめていました。 「建物って、こんなに揺れるものなのか」と恐ろしくなるほどに、高層ビルがグネグネと波打つように揺れるのを、どこか現実味のないまま眺めていた記憶があります。
昨年、私はスタッフや周囲の人に『彼女を守る51の方法』という、震災サバイバルを描いた漫画を配って回っていました。 昨年は世間でも色々な「終末の噂(大災害の予言など)」がありましたから、防災グッズも皆が意識して手に入れやすかった時期ですね。
従業員全員分の防災用品を揃えました。 つい先日新しい従業員が増え、この4月にもまた新しい仲間が増える予定です。 「また防災グッズを買い足さなきゃな」と準備を進めながら、心の底では「絶対にこれを使う日が来ないでほしい」と強く願っています。
しかし、この「日常」を大切に守るためにも、「非日常」を想像し、備える事は必要不可欠なのだと思います。
歯科医師会でも、発災時を想定した訓練を行っています。 避難場所や避難経路の確保。いざという時の水や排水の問題。 普段の日常があまりにも恵まれすぎているため、ひとたびインフラが止まると「一体何をどう準備してよいものか」と、思考が停止してしまいそうになります。
私には、医療従事者としての責務もあります。 大規模な災害が起きた時、私は妻と幼い息子を家に置いて、出動しなければならない立場にあります。
大切な家族を置いて家を出る。 そのための準備と、何より「心構え」が私には必要です。 同時に、医院を守る経営者として、従業員と患者さんの安全も考えなくてはいけません。
実際にそれが起きた時を想定して、想像したくもない「最悪の事態」を想像して、備えなくては…。
そうして考えると、周囲のあらゆる存在が、あたりまえでない事に気が付かされます。
なのでまずは、今日という日に感謝を。 こうして平和にブログを書けること。色々な事が不自由なく出来ていること。 私たちを支えてくれている、あらゆる事、物、そして人に。 心からの感謝から、始めたいと思います。


