すべては繋がり、支えられている。物資不足の歯科医療と「見えない手」への感謝

すべては繋がり、支えられている。物資不足の歯科医療と「見えない手」への感謝

はつおい歯科室 べいちょうです。

世界情勢が穏やかでない昨今、これまで当たり前だった様々な「常識」が見直されていますね。 すべてはぐるっと繋がって、支えられているのだなと痛感する日々です。

医療業界で言いますと、実は「ナフサ製品(石油化学製品)」が要(かなめ)になっています。 グローブや滅菌に使用する袋、歯に詰める材料や歯磨き粉の製造に至るまで、ありとあらゆるものが化学製品に支えられていますが、現在その流通がひどく滞っています。

ここから言えるのは、その資源が世界を根底から支えているという事実と、もう一つは、世界がいかに特定の資源に頼りきっているかという危うさです。

🌎 「SDGs」の現実味の無さと、物資不足のリアル

正直にお話しすると、私は「SDGs」という言葉があまり好きになれません。 というのも、私自身の仕事も私生活も化学製品に丸ごと支えられており、「脱炭素」というスローガンの現実味の無さにどこか呆れているところがあるからです。しかし今回、図らずも強制的な脱炭素社会の予行演習のような物資不足が生じたことで、その現実味の無さが余計に際立ったように思います。

ナフサ製品が買い占められ、「輸入量や生産量は例年並みかそれ以上」というニュースもある中で、実際に注文しても全く届く気配がありません。 「適正量の注文を」と呼びかけられても、届かない物は先んじて手に入れる努力をするのは、経営者として、そして医療者として当然の防衛策です。もし物資が尽きて診療ができなくなったら、どれだけの歯科医院が潰れてしまうでしょうか。

戦争の影響で経済状況も悪く、金属価格は継続的に上昇しています。保険のシステムも変わり、麻酔薬や抗生剤の供給も不安定な時期が続きました。エプロンやグローブすら、安定して買えるか不安な状況です。

コロナ禍の初期にも同じような状況が起きました。やはり最大の原因は「不安からの買い占め」が大きかったようです。しかし、これを完全に制限するというのであれば、日本はいよいよ資本主義のルールを脱ぎ捨てなくてはいけなくなります。

🚢 不安の中で気づく、無数の「支え」

不安しかない状況ですが、それでも日々なんとか診療を続けられている現実に目を向けると、そこには色々な感謝が生まれます。

どこで、誰が作っているのかも知らないグローブやマスク工場の皆さま。 命がけで海上輸送をしてくれている皆さま。 私たち歯科医院の代わりに世界中で買い付けをしてくれている商社の皆さま。 そしてもちろん、政治や行政の場で動いてくださっている方々。

私たちが安定して治療を行っていくために、どれほど多くの人たちの協力を得ていることでしょう。 歯科技工所でも詰め物を作る材料が不足しており、根本的に歯科技工士さんも減少している中で、彼らもまた苦境に立たされています。 私たちは歯科技工士さんがいないと仕事が出来ないのに、どうしたらよいのでしょう。

🏥 日本の歯科医療は、この先も続けられるのか?

こうした状況が続けば、日本の歯科医療はどうなってしまうのでしょうか。

もし歯科医院が潰れていくとしたら、まずは山間地や人口の少ない地域で使命感をもって続けていらっしゃる高齢の先生方や、離島で懸命に仕事をされている方など、「人の少ない地域の医療インフラ」からじわじわと崩壊していくのだと思います。 地域の歯科医療が崩壊するということは、単に歯が治せなくなるだけではありません。口腔崩壊から全身疾患へと繋がり、このままいくと、もしかしたら戦後のように「むし歯や歯周病で人が亡くなる時代」へと逆行してしまうという、極めて深刻なリスクをはらんでいます。

だからと言って、今の私たちに出来る事は何かと問われれば…… やはり、感謝を忘れず「日々の診療を真面目にやり続ける」。これしかないのでしょうか。私に出来る事は、何でしょうか。

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