歯は、不思議な「表皮」

歯は、不思議な「表皮」

2023年4月26日

はつおい歯科室べいちょうです!

突然ですが歯って「表皮ひょうひ」なんです
表皮って何かというと、皮膚や粘膜の外層の事ですね。体は細胞によって作られていますが、細かく機能が分かれています。光を色として識別してくれる目の細胞、食べ物の味を識別するしたの細胞、食べ物を消化をしてくれる内臓の細胞、色々な機能と役割があります。その中で「皮」というのはバリアの役割をしています!
体の中と外を隔てる境界が皮。細胞やウィルスも、皮というバリアが侵入を防いでいます。
そんなバリアである「皮」が「歯」の本質なんです!

歯は、その発生を辿ると「外胚葉」に当たります。組織発生の基は皮膚と同じですが、歯は「硬組織」に分類されます。そして、歯には「代謝」が殆ど存在しません。皮膚は活発な新陳代謝で垢となって剥がれ落ちます。一方で歯は乳歯から永久歯に生え変わりますが、その後は一生使い続ける組織です。(だから大切!)

皮膚や粘膜は傷がついてもいつの間にか治っていたりしますよね。しかし、歯は傷がつくとそのまんま。我慢をしても組織的に治る事はありません。歯の内側では神経が歯を作ってくれていたり、細菌感染で神経が死んで「痛くなくなった」という事はありますが、元々あった「歯」という組織が戻る事は、残念ながらないんです。

歯は「歯根膜」というクッションを介して骨に支えられています。「植立」と言います。健康な状態だと口の粘膜と歯根膜と歯が密につながって「バリア」を形成しています。「バリア」が表皮の役割でしたね!
なぜなら、口には色々な危険物が持ち込まれます。まず食べ物。それ自体は体の為に摂取するものですが、歯ブラシをしないで放置すると細菌の餌になっていきます。口の中は「細菌叢さいきんそう」といわれる細菌の国が出来上がっています。細菌たちは口が奇麗な時には悪さをしません。むしろ体を外敵から守ってくれている味方です。しかし、掃除を怠ると一気に増えて周りを傷つけ始めます。歯の表面で増えた細菌たちはむし歯を作り、歯ぐきで増えた細菌たちは歯周病を作ります。

歯周病原菌ししゅうびょうげんきんたちは実は酸素が嫌いです。酸素の無いところで増殖します。そこは「歯周ポケット」です。歯周ポケットは皮の裂け目・つなぎ目のような場所です。そこで細菌が繁殖してしまうと歯と歯茎の間は歯ブラシも届きにくく、酸素や唾液も届きにくいので容易に住み着いてしまいます。一度住み着いてしまうと「歯石」となって歯ブラシでは除去できない頑固な石へと変貌します。歯石は細菌の住処すみかです。その周りにまた細菌が取り付いて家を増設し、それを繰り返して次第に大きくなっていきます。酸素の嫌いな細菌たちは歯周ポケットの中へ中へ進んでいきます。歯周ポケットは皮の裂け目。弱い部分です。細菌が増えるとそれに負けて出血し始めます。実は血液も細菌の大好物。血液は体を維持するために多種・大量の栄養を含んでいます。それを得てさらに細菌は増殖していきます。

しかし不思議な事に、歯と歯茎の持ち主である人間は、それをあまり感じません。元々、熱いものや辛い物、硬い物などを口に入れて咀嚼する役割である歯と歯茎はとても強く、そして鈍感に作られています。歯周病原菌が繁殖しても、血が出ても、何も感じない事が殆どです。ですので、歯ぐきがかゆい、違和感がある、血が出る、痛いなどの症状は、実はとても進行した状態なんです。

あれ?と思ったらすぐに受診を!
歯ブラシ指導後1週間ほどで、「血が出なくなりました」と言っていただける方がたくさんいらっしゃいます!もちろん歯科衛生士の歯石とりも大切ですが、実はご自身での歯ブラシが一番大切。歯ブラシをしていだけるように、動機づけから歯ブラシの当て方、動かし方、適切な歯ブラシもお伝えします。
治療しなくて良いように、歯を抜かなくて良いように、一緒にお口を守って行きたいと思っています🤗

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