歯周病には怖い歯周病がある!

歯周病には怖い歯周病がある!

はつおい歯科室 べいちょうです。

歯周病は感染症なんですよ~というのは、以前のブログで書かせていただきました。
過去の記事『感染症って本当ですか?!』へジャンプ!

感染症というからには、病原菌があります。
それが、歯周病原菌ですね。
口の中には数百種類の細菌がいて、それらの中でも特に毒性の高いものを歯周病原菌やレッドコンプレックスと呼んだりします。
そんな中でも、何故かものすごく歯周病を悪化させる菌がいます。A.aと呼ばれる菌です。

恐怖のA.a菌
Aggregatibacter actinomycetemcomitansと命名されています。頭文字でA.a菌です。
aggregate(凝集)が見られるbacter(菌)で、actinomyce-(線状の)、temcomitans(随伴する)菌らしいです。
前に来るAggregatibacterが属名といって、どんな特徴があるかを教えてくれます。
その次のactinomycetemcomitansが種小名といって、見た目の形や特徴を教えてくれます。
このA.a菌は、元々、Actinobucillus(線状菌)という属名だったのですが、歯周病への強い関与から
Aggregatibacter(凝集菌)へと属名を変更された経緯があるそうです。
古畑任三郎で女性の歯科医師が犯人の回がありました。その時に古畑任三郎は「あくちのばしらすあくちのまいせてむこみたんす」と呪文を唱えていたような気がします。

A.a菌は何を起こすのか
A.a菌はロイコトキシンという毒素により人の免疫を掻い潜って歯周ポケットへ侵入します。
しかもそれは大変に顕著で、レントゲン写真でも明らかに歯周組織を破壊します。
一般的に歯周病は成人病の様な扱いを受けていて、30代40代から見られ始めます。
そして段々と、じわじわと進行していきます。
一方でA.a菌の関わる歯周病では10代から歯周炎が見られ、30代40代の頃に歯がぐらついたり、抜けてしまったりします。
A.a菌は家族間で感染している事も多く、親子・兄弟で同じような歯周病の傾向が見られることもあるようです。
だいたい1%の程度の人がA.a菌を持っているそうです。

治療法はあるのか
治療法は、特別なものは存在しません。
何よりもお掃除になります。歯の汚れ(プラーク)によって顕著に進行することが分かっています。
歯ブラシの徹底と歯科医院でのお掃除の徹底、その繰り返しと維持が必要になります。
治療の内容は一般的な歯周病と変わりがありませんが、一般的な歯周病が4~6mm程度で見られますが、A.a菌による顕著な例では10mm前後の歯周ポケットが複数個所に見られます。
お掃除の範囲や回数を大きくする必要と、頻度を頻回にする必要が出てきます。

歯周ポケットの何が悪いのか
歯科で歯周ポケットを測るのは、歯周ポケットが歯周病原菌の住処になるからです。
歯周病原菌は「嫌気性菌」と言って酸素を嫌います。そこで最適なのが歯周ポケットになります。
歯周ポケットが深いという事は、歯周病原菌の住処が広い、という事と同義なんです。
細菌の大きさが1μmで面積を1μm2と考えてみましょう。
1mmは1,000μmですから、面積で考えると1mm2は1,000,000μm2になります。
そう考えると、1mmの歯周ポケットは1,000,000個の歯周病原菌が住める環境である、という事になってしまいます。
A.a菌が倍近い歯周ポケットを作ってしまうと、その他の歯周病原菌にも広い住処を与えてしまう事になります。
歯は骨に守られて咬み合わせる力を支えていますが、骨が溶けてしまうと支えを失って一気に悪化します。
また、支えを失うと他の歯への負担がだんだんと増えていきます。

ご本人としては、なんだか歯が揺れているな、とか
出血するな、などのあまり気にされない症状が続いたりするのですが、我々歯科医師としてはとても怖いところです。
歯周病によって健康な歯が抜けるのを何本も見ています。
すべての歯を抜いて総入れ歯にしたこともあります。
そうなってほしくない。ですけど、来ていただけないと発見すら出来ないジレンマがあります。
怪しいな、と思ったら、まず見てもらう事が重要です。
もしかしたら何でもないかもしれませんが、クリーニングが受けられると思います。
早い段階で治療を始める事がとても大切です。忙しいなか大変かと思いますが、それでも、来ていただけると、嬉しいです。

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