はつおい歯科室 べいちょうです。
先日、未来授業で学生の皆さんにお話しさせていただいた際に、現在の歯科医療を取り巻く環境について色々とリサーチをしました。今回はそのデータを見ながら、少し考えてみたいと思います。
コンビニより多い歯科医院と、浜松の現在地
「コンビニよりも多い」で有名な歯科医院ですが、浜松でもそれは変わらないようでした。 調べたところ、浜松市内のコンビニは約310軒
浜松市内の歯科医院は約410軒 何と100軒も多い結果になりました。
(数か月前に調べた数字なので、正確な数字は多少前後するとは思います)
一方で、浜松市の人口は約77万人(774,894人)だそうです。
「【歯科医師が多い】と表現できるのか?」という問題があります。
歯科医院なんてそんなに通うものではないという人もいれば、毎月、あるいは毎週通っている方もいらっしゃいます。本当は通いたいけれど、通える医院が無かったり、仕事や家の都合で通う事が出来ない方も多数いらっしゃいます。
色々な生活様式や生活リズム、多様性が求められる昨今において、77万人の人口を410軒の歯科医院で本当にカバーしきれているのでしょうか。
高齢化する歯科医師と、10年後の数字
これは浜松市単独の統計ではなく、全国の開業している歯科医師の統計ですが
47%の歯科医師が60歳以上
77%の歯科医師が50歳以上 だそうです。
これをこのまま全国の割合として浜松の軒数に当てはめてみると、
193軒が60歳以上
123軒が50〜59歳
94軒が49歳以下 という事になります(※小数点以下は四捨五入しています)
勤務医を含めた歯科医師全体では、浜松市内で562人の歯科医師が届け出をしているそうです。
全国の年齢構成比では
歯科医師の
37%が60歳以上
58%が50歳以上 となっています。
やはりこれも同じように浜松に当てはめてみると、
208人が60歳以上
118人が50歳〜59歳
236人が49歳以下 という計算になります。
例えば10年後、現在60歳以上の208人の歯科医師先生方は、70歳を迎えられてなおも現場で仕事をしてくださっているでしょうか。そしてその間の10年間で、浜松には何人の若い歯科医師が新しく来てくれるでしょうか。
浜松には歯科医師を養成する大学や学校はありません。
歯科技工士さんを養成する学校もありません。
歯科衛生士さんを育てる学校は2校のみです。
これをピンチと捉えるか、チャンスと捉えるか。そこには大きな自由があります。
静岡県が人口流出人数日本一を誇るとはいえ、浜松市単独ではそこまで大きな流出は見込まれず、10年後の人口推計は約73万人と言われています。 もしも地域の歯科医師までもが予定通りに高齢化によって減ってしまえば、これから先、幾つの歯科医院で、何人の歯科医師が働いて73万人を支えていくのでしょう。
10年後、私たちが果たすべき責任
大きな割合を占める年齢層がごそっと現場を抜けてしまった時、10年後の私は「50歳以上」に括られるギリギリ手前の49歳です。今の高校生が、ちょうど歯科医師として仕事をし始める頃です。
私たち歯科医師は、その頃までに後進を育てなくてはいけません。 素晴らしい歯科衛生士さんたちを輩出しなくてはいけません。 歯科技工士さんとより良いパートナーシップを組まなくてはいけません。 むし歯と歯周病を減らして、治療から「予防」へと歯科医療を、地域医療を転換しなくてはいけません。 そして、子どもたちが将来の歯並びや咬み合わせに困らないための、教育と矯正の認知を広げなくてはいけません。
現在、歯科医師国家試験は厳しい難易度で推移しています。2026年は1,757人が新たな歯科医師となりましたが、その前年までは約2,000人前後で推移していました。急減と言っていいでしょう。
絶対数として多い様にも感じるかもしれませんが、その中には研究や教育、行政に携わる先生もいます。すぐに結婚されて現場で働いたことがない先生も知っています。歯科業界でも美容と審美はトレンドであり、保険診療を一切やらない先生も増えています。
10年後の地域の歯科医療は、一体どうなってしまうのでしょう。
地方の歯科医師が足りなくなることは目に見えています。もとい、すでに山間地域などでは通える歯科医院が著しく減少し、医療の手が十分届かなくなりつつある現実は、決して見過ごすことができません。
今の私にできること、そして医院のあり方
大きな不安を語りましたが、そんな未来をただ心配していても仕方がありません。
私は私で、目の前の患者さん一人ひとりに誠実に診療して、従業員を大切にして、歯科技工士さんや商材屋さんへの感謝を忘れないようにする。今のところ、それくらいしか私には出来ないのですが。
もう一つ出来るとしたら、未来授業で中学生に歯科医療について知ってもらったり、歯科衛生士学校で学生さんに講義をしたり。何か自分にもっと出来る事はないのかなと色々と考えながら、行動して、時には失敗しながら、毎日を真剣に磨いていくしかありませんね。
私は休日に講習会や研修に行く事が多いのですが、研修先で出会うのは実は年上の先生方が多かったりします。これから先を担う若手の先生は日々の診療や勤務に追われて勉強の時間が取れず、少し余裕が出た上の世代の先生方こそが熱心に学んでいる。なんだか少し妙な業界です。
若い頃には休みを惜しんで学びたいものですが、私も勤務医時代にはそんな時間も精神的金銭的に余裕もありませんでしたから、人の事は言えません。だからこそ、そうした環境そのものも改善できる組織でありたいと思っています。
はつおい歯科室は、お休みをしっかりいただいているので時々驚かれることもありますが、実はその時間を活かして色々な事を深く勉強したり、地域や社会の課題に取り組んだりもしているんですよ、という少しばかりのアピールも兼ねて。


